Travelogue

フリーランスの健康保険

公開日:

雑誌「web creators」の、独立を目指すクリエイター向けの特集に掲載していただいたので、フリーランスの人にちょっと役に立つかもしれない情報を書いてみようと思います。
とは言ってもたいした情報を持ってるわけじゃないのですが、今回はとりあえず、日本国民はみんな加入しなければならない健康保険の話です。

フリーランス(個人事業主)は国民健康保険に入る

会社員だったときは、会社が保険料を半分負担してくれて社会保険に入っていたことと思います。
会社を辞めて独立し、個人事業主になると、今度は自分で国民健康保険に加入しなければなりません。
一般的には、区役所などに行って地方自治体が運営する国民健康保険に入る人が多いと思います。

この地方自治体が運営する国民健康保険ですが、保険料が毎年変わります。
どうやって保険料が決まるのかというと、前年の所得の大小によって増減します。
つまり、所得が多かった年の次の年の保険料は高くなるわけです。

所得が多かった次の年の保険料には要注意!

この保険料の増減、僕の経験から言わせてもらうと、甘く見ないほうが身の為です。
たまたま事業の調子が良くて、所得がどーんと増えて喜んでいたのも束の間、次の年に送られてきた保険料の通知書を見たときは目を疑いました。

前年の保険料とは比べ物にならないような信じられない金額で、どう考えてもおかしい!と最初は単なる計算間違いか何かだと思ったのですが、自分で保険料を計算してみるとどうやら間違いではないらしい・・・
つまり保険料だけでなく住民税も大変な金額の請求が・・・
(住民税も前年の所得から計算されます)

しかも、多かれ少なかれ収入にはある程度の波があるのがフリーランスの宿命(?)のようなもの。
僕も、前年は所得が多かったのですが、その年は前年ほどではなかったので、月々払う保険料の高さには毎回イラついてました。(病院には滅多に行かないということもあり)

国民健康保険組合との出会い

そんなときに知ったのが「国民健康保険組合(国保組合)」なるもの。
無知というものは恐いものです。
国民健康保険って、別に地方自治体が運営するものでなくてもいいって知ってましたか?
僕はそんなことは全く知らず、地方自治体が運営するものしかないのだと思いこんでいました。

国保組合とは、地方自治体と同じように国民健康保険事業を行っている事業主のことです。
既存でいろいろな組合があり、それぞれ加入条件が異なります。
つまり、加入条件さえ満たしてどこかの国保組合に入ることが出来れば、地方自治体の国民健康保険には入らなくても良いということなのです。

僕の場合、文芸美術国民健康保険組合というところに狙いを定めました。
ここの場合、所得の大小に関わらず保険料は定額で、組合員は月額13,500円、その家族は6,100円です。(※2009年3月25日現在)
その時の僕の地方自治体の国民健康保険の保険料と比較すると、ものすごーくお得な金額でした。

上記の保険料は毎月ごとの金額(1年分を12回に分けた金額)です。地方自治体のほうの保険料は、1年分を10回に分けた金額で請求が来ますのでご注意下さい。
つまり両者の金額を比較するなら、地方自治体のほうを(1回分×10)÷12として計算し直して比較することになります。

国保組合の加入資格というハードル

文芸美術国民健康保険組合は、僕がそれまで入っていた地方自治体の国民健康保険と保障内容もほとんど同じ(病院に行った時の自己負担が3割というのも同じ)で、その上で保険料が安いということで、これはもう乗り換えない理由がありませんでした。
しかし、国保組合には前述の通り加入資格というものがあります。
文芸美術国民健康保険組合の場合、

日本国内に住所を有し、文芸、美術及び著作活動に従事し、かつ、組合加盟の各団体の会員である者とその家族。

となっています。
この「組合加盟の各団体」もたくさんあります。
その各団体にもそれぞれに加入資格があり、どうやら職業上、僕が入れそうなのは「日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)」というところくらいなように思われました。
念のためJAGDAに問い合わせてみましたが、Webデザインもグラフィックデザインのひとつと考えているので問題ないとのことでした。

ちなみにJAGDAにも年会費が必要なので、JAGDA年会費と文芸美術国民健康保険組合の保険料の合計金額と、地方自治体の保険料を比較する必要があります。僕の場合はそれでも地方自治体のほうが高かったので、乗り換えることにしました。

そこでJAGDAに入会しようと思ったのですが、こちらは「推薦者」が必要とのこと。
既にJAGDA会員の誰かに推薦者になってもらって、入会申込み書に署名したもらう必要がありました。
知り合いが誰かいればいいのですが、僕の場合は誰も知ってる人がおらず、正直なところこの時点でだんだん面倒臭くなってきて、やっぱり乗り換えはあきらめようかとも思いました。
そんなとき、知り合いの知り合いで偶然JAGDA会員の人が見付かり、ありがたいことに快く推薦者になっていただくことができたので、JAGDAに入会することができ、つまり文芸美術国民健康保険組合にも入会し、晴れて地方自治体の国民健康保険は退会することができたというわけです。

もっと軽めに書くつもりが、ずいぶん長文になってしまいました・・・。
払わなければならない金額を少なく抑えるということは、すなわち収入が増えるのと同じこと。
保険料の高さにお悩みの方は検討してみてください。

Pagetop